音のカテドラル ブルックナー交響曲5番

ブルックナー、バルトークそれにショスタコーヴィッチと、女性から理解がえられない音楽が大好きな陰キャの私です。

ブルックナーの音楽は独特で、私が知らないだけかもしれませんが、ああいう音楽を作った作曲家は他にいません。

普通の音楽は、ロックからクラシックまで、旋律や和声 が時間経過とともに展開して音楽は形作られます。音楽理論以前に、「時」というものが音楽の法則で絶対的な要素です。そこが絵画や彫刻とは違うところです。

ブルックナーは、その「時」の法則からはみ出た音楽を作ったと私は感じます。ブルックナーが意図的に挑戦したわけでなく、自分の音楽を作ろうとして結果的にそうなったんだと思います。ブルックナーの音楽に、そういう意図的なところがないからです。

ブルックナーが作品を作った当時は、演奏者からのウケは良くなかったようで、何度も書き直したりしています。こんなヘンテコな音楽をどう演奏すればいいのかやりづらかったのだと思います。

ブルックナーの音楽ではメロディ・伴奏が時間にしたがって流れていくという音楽の普遍の構成ではなく、個々の音響が空間に配置され凍りつき、それが巨大な音の建造物を作るようなことになります。時間の流れという要素は少なく、音響が作る巨大な空間で時を忘れて佇んでいるような錯覚に見舞われます。

まるで巨大なカテドラルの中で、尖塔の下の闇とステンドグラスからの光の散乱に吸い込まれていくようです。だから、ブルックナーの仕事は、巨大な音空間が作れる交響曲の作曲と、教会でのオルガン演奏が主要な場でした。

こういう感情表現としての音楽ではなく、なにか絶対的なものへの帰依を感じられる印象から、ブルックナーの音楽は宗教性が強いと言われるんでしょうか? 確かにあの音楽には、無宗教の私でさえヨーロッパのカソリック教会の中に入って感じざるをえない人為的な神秘性を感じます。

こんな音楽を作った作曲家は他にいません。もう神秘体験の中でトリップしているようです(注:作者は薬物によるトリップ体験がないもので想像です。)。その中でも特に巨大な音空間を感じられるのが交響曲の5番と8番です。

チェルビダッケのブルックナー、交響曲第5番。カラヤンとともに巨大な音空間を作る指揮者です。その様子が指揮ぶりからよく分かります。

特進個別塾 ミドリゼミ芦屋校

予約なしにいつでも毎日でも学習できる。ベテラン講師が直接個別指導する塾。神戸高校を目指す中学生や関学を目指す高校生には塾からは宿題も出しません。神戸大以上の国立大学を目指すのなら予習中心の学習で引っ張ります。
PAGE TOP