至芸 ルービンシュタイン・リサイタル

そりゃあ、今のピアニストは上手いです。けど、こういうピアノを弾けるのはいなくなりました。

そっけなく、もったいぶったりもせず、どちらかと言うとぶっきらぼうに弾いてるだけなんですけど・・・なんとも言えない粋がある。インスタ映えじゃないけど、人生の良いところだけを凝縮したようなピアノの音。聞いているだけで、幸せに、そして自分の人生が惨めになる。

若い頃はテクニシャンとして鳴らし、老境を迎えても演奏にキズが付かないレベルの技術を維持しながら、長い演奏経験を生かして洗練の限りを尽くした音楽を作るようになる演奏者がたまにいる。バックハウスというピアニストなんかもそうです。技術的には劣りますが、私の大好きなゼルキンなんかもそうです。

こういう演奏者はいなくなりました。アルゲリッチもポリーニも、年齢や故障で技術が衰えると聞くべきものがなくなる。どこに差があるんでしょうかねぇ。

私の夢は、十代の頃からルービンシュタインのピアノのようなジジイになることでした。ある意味、それは今も変わりません。無理でしょうけどね。

1964年モスクワでのリサイタル。ルービンシュタイン77歳の演奏。このジジイの色香ときたら・・・。

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