卓抜した作曲技法と知性を兼ね備えたショスタコーヴィッチが人生の最後に選んだ楽器がヴィオラ。ショスタコーヴィッチは体の状態から死期を悟っていたはずだ。そこで、選んだのが、この前も書いたように、ブツクサと独り言を言いながらキレてるような音の楽器です。
最晩年のショスタコの作品は弦楽四重奏曲の15番といい、「墓場の音楽」と揶揄される陰キャを通り越したもの。ただただ消えゆくような孤独の中で歌われる。
ショスタコの友人であり初演も多かった名指揮者のムラヴィンスキーは、音楽に関しては 厳格で、指揮の最中も眉一つ動かさない。その彼が、ショスタコの死後初演されたこの曲を聞きながら、コンサートホールでひと目も憚らず子供のように泣きじゃくったという。
「ソ連」生まれの歴史的な名演奏家のコンビでどうぞ。