日本で有名なクラシック音楽の作曲家と言うと武満徹を上げる人が多いですが、この方たちは実際に彼の音楽を聞いたことがあるんでしょうか?
武満が世界的に有名になったのは、雅楽などの日本の音階で、尺八などの日本独自の楽器を使った ノーベンバー・ステップスという曲をニューヨークで発表して絶賛されたからなんですが、これは単に物珍しさからではなかったのか?
その後、武満はミニマル楽派に近い、キレイなメロディをユニゾンで弾くという非常に単調なピンク・フロイドか?というような音楽を作り始めます。単調で面白くありません。
黛敏郎の音楽は、メロディと伴奏というクラシックからポップスまで普遍のアンサンブルでは作られていません。どちらかと言うと倍音成分をユニゾンのように使った音楽が短時間で変化する音楽といういより音響に近いものです。いわゆるスペクトラムと言われる手法です。知性の中にある感情より本能にある感覚が刺激される、まさに現代の音楽です。
この曲でお経を合唱に取り入れたセンスは大したものだと思います。コーラスのように音程が整えられていない多人数でリズムが揺らぐ読経は彼の音楽スタイルにぴったりです。というより、日本的な感性を歌いながら西洋の和声という響きにどっぷり嵌った武満などの日本の現代音楽に、黛敏郎は 声明などの日本独特の響きの感覚を主張したかったのではないのだろうか?