演奏される機会も少なく、ベートーベンの中でもマイナーな曲です。
ベートーベンは古典音楽の後期に出てきた音楽家です。古典音楽は「自己主張」のための音楽ではなく、和声とアンサンブルの調和と可能性を追求したもので、音楽に「感動」を求める現代のリスナーには不人気な音楽です。
音楽の構成の機微を楽しむものですから、ハイドンなんてのはあまり聞かれない。しかし、ハイドンは貴族宅に囲われ外部との接触も少なく、独自で古典派の音楽に必要な演奏様式を築き上げた、音楽史上最大の功労者です。古典音楽は引きこもりのオタクが生み出した至高の音楽です。
オーケストラも室内楽も、ハイドンの作った演奏形式で、その後数百年、現代でも作曲され演奏されている。それだけ合理的で、後人には変えるスキもなかったんです。
そのハイドンの延長線上で音楽を作ってきたのが古典派の音楽家たち。モーツアルトとベートーベンとシューベルト以外はほとんど聞かれません。
古典音楽でも、オペラや歌曲を活動の柱として旋律が音楽の大きな要素だったモーツァルトとシューベルト、それに古典派とロマン派の中間のような強固な構成を保ちながら自己主張の強い音楽を作ったベートーベンが人気なのは、「音楽は感情の表現を楽しむもの」という現代の我々のニーズにマッチしているからでしょう。
でも、ハイドンの交響曲なんか、モーツアルトはもちろんベートーベンにも匹敵する作品はいっぱいあるんですけどね・・・。ウソだと思うのなら、フルオケで演奏されたカラヤンの傑作、後期ハイドンの交響曲集でも聞けば納得されると思いますよ。スケールが大きく、ベートーベンなんかに引けを取らない音楽だとよく分かります。
私は、古今東西で「最高の作曲家」と言われたら、なんの躊躇もなくベートーベンとハイドンを挙げます。
そして、その古典派の最後期、ベートーベンが人生で最後から2番めに作った交響曲がこれ。人気がないのは、旋律美などなく、古典派の技術とセンスの粋をベートーベンが注ぎ込んだ古典派音楽の集大成だから。
この曲は音楽の構成を楽しむものです。5番や3番などに比べて劣っていると言う方も多いが、見当違いです。モーツァルトよりマーラーのほうが良いと言ってるようなもんです。この曲のアンサンブルやリズムの処理は驚くべきものです。シンコペーションまみれの曲は演奏も難しい。シューマンのラインと並んで、ものすごい曲者です。
その中でひときわ異彩を放っている演奏がコイツ。アンサンブルがお互い合わせようとなんかしていない。お互い目一杯自己主張をし合った上にアンサンブルが成り立っているジャズのカルテットのような演奏です。こういうアンサンブルは、クラシックの室内楽でも最近は多いですが、パートも人数も多いオーケストラでここまで徹底した演奏というのは他には知らない。
凄まじい音楽のエネルギーを支える演奏技術とアンサンブルの精度には感服します。ベートーベンが古典音楽の集大成に込めた「音楽の面白さや楽しさ」を思う存分味わえます。もすごく面白く魅力的な演奏です。
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